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保険見直し

 終活では相続対策が重要ですが、それに関連して忘れられがちなのが「保険の見直し」です。死亡保険金は「みなし相続財産」として、相続財産になりますが、死亡保険金の基礎控除という取り扱いがあります。それは保険契約者・被保険者・保険金受取人の関係、つまり保険契約形態が一定の条件を満たして認められる控除です。


 また、保険の見直しで契約形態を変更することで、生前贈与の役目を持たせたり、法定相続人の遺留分を確保したり、あるいは相続税の 資金準備ができたりと、さまざまに活用できます。まずは保険証券に記入されている「保険金受取人」を確認し、さらに保険契約者、保険金受取人の変更でどのような相続対策ができるかを見ていきましょう。


保険金受取人の確認


 下の図を使って保険金受取人と保険金の基礎控除を説明します。家族構成はご夫婦には長男と長女、2人のお子さんがいらっしゃるとします。そしてご本人はご本人の生命保険を掛けて、万一のときは死亡保険金を妻に受け取ってもらうようにしています。こういうパターンで生命保険に加入しているケースが大多数です。

家族関係図

 本人が亡くなって死亡保険金を受取ると、それは相続財産(みなし相続財産)として、保険金の基礎控除の対象になります。上の例では、受取人が「妻」となっていますが、ここが「長男」でも「長女」でも相続財産の扱いになります。つまり、本人が本人の掛けた生命保険の受取人が法定相続人であれば、相続財産となるということです。


生命保険金の基礎控除額の計算
500万円×法定相続人の数



 上の家族関係図で、本人が亡くなった場合の法定相続人は、妻と長男、長女の三人です。したがって基礎控除額は、1,500万円となります。さて、かつて郵便局などで加入した古いタイプの生命保険の場合、受取人の指定のない保険がありました。これは今も現存しています。1年に1度「加入保険の内容のご案内」が届きますので、受取人の記載があるかどうか確認してみてください。もし、記載が無いようでしたら、契約者本人が窓口で死亡保険金の受取人の指定を申し出てください。指定がないまま本人が亡くなり、遺言もない場合は、法定相続人全員で分割協議をしなくてはいけません。



保険契約者・保険金受取人の変更


 相続対策として保険契約者の変更と、保険金受取人の変更という手法があります。本人は所有する財産を減らして、相続発生時の相続税の負担を少しでも少なくしたいという場合には、この手法が有効になります。


手順1:本人が掛けている保険の契約者変更をします。このとき、この保険の解約返戻金相当額が息子に贈与されたとみなされますので、贈与税の申告が必要です。


手順2:契約者変更後に保険料の払い込みは、父から息子に贈与し、息子が保険料を払い込みます


結果:①変更に伴う贈与に対して、贈与税の基礎控除が受けられます。②保険料払い込み原資(贈与された原資)に対して、贈与税の基礎控除が受けられます。③本人が亡くなったときは、払い込んだ保険料以上の死亡保険金を息子が受け取ることができます。 


本人は:保険料を息子に贈与することにより相続財産を少なくすることができる。贈与税の基礎控除=年間110万円まで控除できるので、10年間継続して110万円の贈与を行えば1,100万円が贈与できる。また、贈与は何人にでもできるので、たとえば長男、長女、孫など複数人に贈与することで、相続財産を減らすことが可能となる。

※贈与は贈る側の「贈ります」と受け取る側の「受取ります」という意思表示がないと認められません。継続して贈与する場合は、「贈与契約書」を締結することをお勧めします。



法定相続割合遺留分の代償相続


 法定相続人には最低でも受け取ることができる「遺留分」という権利があります。もし、相続財産が土地建物が主で預貯金は少ないという場合は、死亡保険金の受取人を当該相続人に変更することで、トラブルを避けることができます。


 土地や建物は妻や長男夫婦が現に住んでいることもありますので、遺産分割しにくい財産です。そこで、長女には死亡保険金から遺留分を充たす金額を現金で受け取ってもらうようにします。なお、死亡保険金の受取人は、複数人を指定することができます。


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 終活における相続対策の観点から、生命保険の扱いのポイントを書いてみました。既に加入している保険の内容がどんなものなのか、内容の見直しは必要ないのかなど、保険証券をお持ちになって来所いただければ、その場でアドバイスいたします。


(文責:ファイナンシャルプランナー藏本光喜)